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花田優一の靴職人としての実力よりも職人としての姿勢が問題|ベテラン職人が語る

花田優一さんが2020年2月21日TBS放送の「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」に出演して、靴職人として納期を守らないことや自身に対する世間の批判に対していろいろと反論し、室井佑月さんとバトルを交わしていました。

室井さんに対しての視聴者の方々の好き嫌いは置いておいて、ここでは番組中に花田さんが発言した「職人」としての花田さんの姿勢や言い分に対して、ある日本伝統工芸のベテラン

Leon_Tonton / Pixabay

職人の方(Aさん)から話を聞いた「職人とは」という観点で見ていきたいと思います。

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職人は実力も大切だが納期を守るのは当たり前

まず花田優一さんが靴の納期が遅れていることに関して、ご自身が納得できる靴を作られていないから顧客に待ってもらっているとおっしゃっていました。

たしかに、こだわりのある職人さんであれば、あるあるな話のように聞こえますが、この点についてAさんにお話を聞いてみました。

納期を守ることも実力のうち

Aさんは一言、「それはない」とおっしゃいました。

Aさんは納期内に仕上げる手の早さと正確さも職人には大切だとおっしゃいます。


約束した納期に仕上がっていなければ、例えば顧客が業者さんだった場合、販売機会の損失にもなることもあり、大変な損害を与えることになり得るともおっしゃいました。

つまり「信用」の問題であると。

また、実際にはとても無理な納期を依頼されることもあるそうです。

しかし、その時は受付の段階でちゃんと断るそうです。

「受注した時点で、注文いただいたお客さんと約束した納期は守るのが当然です。お客さん側からすれば、こちらの都合などは一切関係ありません。納期に間に合わないと判断したならば受注の段階で最初からお断りすればいいことです。私はムリな納期を依頼された場合は受付の段階で丁重にお断りします。それがお客さんに対しての礼儀ですからね。お客さんはその日にどうしても必要なのかもしれませんから、私が納期まで仕上げられないと判断し、受け付けられない場合は他の職人さんを紹介して差し上げることもあります。」

とおっしゃいました。

至極当然の対応ですよね。

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職人の実力は顧客が決めるもの

職人さんの実力って私たちにはわかりづらいものですが、はたして花田優一さんの実力はどうなんだろう?と思って、そのことをAさんにも尋ねてみました。

職人としての実力を自分でアナウンスするものではない

Aさんは「私とは全く違う畑違いの職人さんなので、私が花田優一さんの実力がどれほどのものかというのはわかりませんし、判断するのは失礼だと思います。」

とおっしゃいました。

私の質問が愚問でしたね。。。

Aさんは日本伝統工芸の職人さんで、花田優一さんはイタリアの靴の職人さん。

全然違いますもんね(^▽^;)

しかし、Aさんは

「ただ言えることは、職人自身が自分の実力はスゴイんだぞ!とはいちいち言わないんじゃないかなと思います。それは日本であろうが、イタリアであろうが変わらないんじゃないかと思いますよ。イタリアと言えばバッグにしろ洋服にしろ素晴らしい職人さんがいることで知られています。ブランド物の職人さんも多数いらっしゃるでしょう。ですが、彼らは『どうだ!俺の実力はスゴイだろう!!』とアピールしてはいないと思いますよ。そのバッグや洋服を買ったお客さんが『これは素晴らしい!』と思って、それが口コミなどで話題になり拡がって、今のイタリアの高級ブランドなどになっていったんではないですかね。私も自分でいちいちスゴイだろうアピールなどしませんよ。そんなことしたらお客さんが引いてしまいますから(^^;」

おっしゃる通りぃ~~~!と私も思いました。

ただしAさんは次のようなこともおっしゃいました。

職人と言えどもマーケティングは必要

Aさんは

「そうは言っても、私たち職人もお客さんがあっての仕事です。職人の中には頑固に『良い仕事をしていれば自然とお客は付いてくる』という昔気質の方もいますが、やはり知ってもらわないといけないので、ある程度の広告は必要だと思います。今は仕事が多様化してたくさんありますので、その中に埋もれないようにマーケティングは今の時代は必要です。ただし、要はそのやり方ですよね。イヤらしくならないようにすることは大切だと思いますよ。」

なるほど・・・

昔気質の職人のままでは、今の世の中食べていけないということでしょう。

職人も商売人という一面も持ち合わせていないといけないということでしょうね。

そこで花田優一さんのやり方はどうお感じですか?と尋ねてみました。

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職人として一人前の実力を磨く修行期間はその職種それぞれだが2年半では話にならない

Aさんは

「大横綱の貴乃花の息子さんですので、そもそも何をやるにしてもマスコミ関係の方から注目されるというアドバンテージを最初から持っていらっしゃいますからね。そこはどんな商売や職人をやるにしても一般人よりはマーケティング的には有利でしょう。タダで広告してもらえるようなものですからね。ただし、それだけに反響も多いので負の方へ振った場合が非常に難しい立場になり得ることも覚悟が必要でしょう。まさに今がそうではないでしょうかね。」

まさに、まさにそうですよね!

テレビに出る以上、キチンとやっていないと、そこは叩かれるというリスクもあります。

今回がまさにAさんがおっしゃる通りのことになっているわけですよね。

そこで私は職人さんに関して無知なので、花田優一さんの職人としての修行期間が2年半というのは、職人としてどういうレベルなのか疑問に思ったので、そのこともAさんに尋ねてみました。

Aさんは

「靴の職人さんが一人前になるのが2年半でOKということであれば、ああ、そうなんだと思いますが、私の認識で言えば、どんな職人でもたいてい10年以上くらいがほとんどじゃないでしょうか。修行期間の考え方にもよりますが、私は何年経っても修行であると思っています。日々勉強と腕磨きですね。ただ、お客さんの品物に師匠や先輩の手を借りず完全に自分自身だけで手掛けて良いという段階になるまでには、まじめに取り組んだとしても、たいていの方は10年くらいは必要ではないかと思います。寿司職人の方など料理の職人さんもそういう方が多い気がしますね。」

こういう職人さんの話を聞くと、2年半の修行で独立された花田優一さんは大丈夫なのだろうか?と疑念を持ってしまいますが、Aさんは「持って生まれた天性かもしれませんよ」と多少苦笑いしつつおっしゃっていました。

職人として早く一人前になるには遊ぶ時間すら修行や研究に使うべき

最後に私はAさん自身の修行の段階はどうだったのか尋ねてみました。

Aさんは

「私は祖父の代からこの職人の家に生まれましたので、師匠は私の父と外部の同業で日本で一番と言われる腕を持つ方、そして私の住む県で一番の腕を持つ方の3人から学びましたね。私は大学卒業後に一度サラリーマンになったのですが、この職人になることは小学生の頃からの憧れでしたので、脱サラしてちょうど花田優一さんくらいの年齢の時に修行に入りました。好きな仕事であったのもありますし、脱サラした手前、どうしても物にしなければならないという危機感もあったので寝る間も惜しんで修行と研究に時間を使いました。この職人としての仕事を学びながら、仕事の後は自分で予習復習と研究をして、それこそ睡眠時間を3時間程度に削って時間を惜しんでのめり込んでましたね。師匠の3人の方もよくある昔気質の『職人は見て覚えろ!』という突き放した姿勢ではなく、私の質問にはキチンと応えてくれて、どうすれば最も有効で早くマスターできるかを丁寧に教えてくれました。その甲斐あって一人前になるには10年以上はかかると言われていた私の業界の仕事も業界の同職人の方々から5年で一人前と認めてもらえるようになりました。あれから30年ほど経ちますが、私の師匠3人の方(内2人はすでに他界)には今でも感謝しています。」

Aさんのお話を伺っていて、やはり職人さんが一人前になるには、そうそう生半可ではムリだなと思いました。

またAさんはその修行している当時、バンドもやっていて、週に2回のリハスタジオ入り、月に2回のライブ演奏もしていたそうです。

そのような趣味とは言え大変なスケジュールの中でも、「バンドなんかやってる暇があったら修行に集中しろ!」と言われないように、寝る時間も削って修行に支障がないようにしていたそうです。

やることをキチンとやっていたため、師匠の方たちからバンドに関しては一切何も批判されたことは無かったそうで、それは50歳を過ぎた今でも続けられているそうです。

まとめ

こうやって本物の職人さんのお話を聞いていると、花田優一さんの様子が今回テレビで紹介されましたが、正直この人は職人として甘いな・・・と感じてしまいました。

テレビで自宅にスーツがたくさんある様子や不要とも思える数のメガネのコレクション、納期が遅れているにも関わらず絵を描いているなど、紹介する必要性が無かったのではないかと思いました。

高級車に乗りながらのインタビューなど、お金持ち感をアピールする必要性は職人さんとしてアピールしたいのであれば全く必要無かったのでは?と。

説得力のない話で、ご本人にとってマイナスなテレビ出演だったなと感じたのは私だけではないはず。

まだお若いので、これからは謙虚に職人か芸能活動かどちらかに集中されて行けばよろしいのかなという感想を持ちました。

 

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